About "AT通信"

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NOVEL

「3 color's」---著[ルジェリア]---画[ちるね&みかん]---

目次

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第二項

「え・・・?」


  倒れていたのはウェルナではなく、さっきの黒い影だった。


「ユオン・・・お前前線にいたのか・・・」

「・・・! イリュアン!」


  ユオンとウェルナの前に現れたのは、一人の男スカウトだった。

  目は堅い信念があるかのように、力強く、鋭いエメラルド色の瞳。
  茶色の髪の毛はボサボサにしてあり、それも一種のオシャレなのかどうなのか。
挿絵
  そしてその短剣スカウトがウェルナを見ながら口を開いた。


「・・・この怪しい奴はなんだ?」

「あ、怪しい・・・?」


  ウェルナは自分の真っ黒なローブを見ながら、
  イリュアンと呼ばれたスカウトに言い返す。


「怪しくなんかないわよ。これちゃんとしたソーサラーのローブ!
 貴方みたいなボサボサに言われたくないわよ。」

「・・・フン。ソーサラーって怪しげな黒魔術とやらを使うんだろ?
 それだけで十分怪しいじゃねーか。」

「イ、イリュアン・・・」


  ユオンはおろおろしながら左手の拳を口元に当てたまま、
  ただ二人が言い争うのを見ていた。


「黒魔術じゃないわよ。夢と希望に満ち溢れた"魔・法"!
 ソーサラーの魔法があるから前線も賑わうのよ?」

「威力はあるけど隙がありすぎだろ・・・ソーサラーも体鍛えろよな。
 だから火力あってもすぐ倒されるんだぜ?
 あ、もしかしてただ派手なのが好きなだけ?」


  イリュアンがへーそうなんですかぁ。と嫌味たっぷりに言う。

  ウェルナが杖をぎゅっと握り締めた手は、怒りのあまり震えていた。
挿絵

「なっ・・・短剣みたいにチマチマした技だって
 見てるほうがイラつくのよ! もっとドーンと行きなさいよ!」

「あーやっぱりただ派手なのが好きなだけなんですね。ソーサラーって!」

「なんですって!?」


  クリスタルの杖が今にも折れそうなくらいウェルナの手に力が入っている。
  ぎりぎりと音を立てて・・・

  そしてユオンがやっと口を恐る恐る開いた。


「や、やめてよ・・・。この人は僕の知り合いで・・・
 今パーティ組んでるから・・・。」
挿絵

  それを聞くとイリュアンが軽く舌打ちをした。


「チッ・・・お前と組むつもりで来たのだがな・・・まあいい。」


  その言葉だけ言うと疾風の速さで闇に溶け込み消えてしまった。
  恐らくスカウトが使える"ハイド"という術だろう。


「・・・ユオン君。さっきの人知り合い?」

「あ、はい・・・。」

「ふーん・・・。そうなの・・・へぇ・・・。」


  よっぽどさっきのイリュアンが気に食わなかったのか、
  ウェルナの杖"レアクリスタルロッド"を握る手に思いっきり力が入っている。
  そしてウェルナの赤色の瞳は怒りのあまり尖っていた。
挿絵
  ― むかつく・・・むかつくむかつく・・・


「気晴らしに前線行くわね・・」

「え、あ。いってらっしゃい・・・?」





「すぱーくふれあ! さんだーぼるとお! ふりーじんぐうぇいぶ!うぇいぶ!うぇいぶ~!」


  全身真っ黒なローブに身を包んだソーサラーが叫ぶ。


「わあああ!?」

「キャアア!」

「し、死神だぁぁ!」

「警察! 警察うう!」

「吹っ飛べ ボサボサ! あはははぁ!」


  前線はドーン、バーンという爆発音と雷の落ちる音、人が凍る音で盛り上がっていた。
  ウェルナの近くを通りかかった敵ナイトがフリージングウェイブですってーんと転ぶ。
 

「あの黒魔術師・・・やっぱ派手なのが好きなだけだな・・・うん。」


  敵も味方も狂ったウェルナの呪文のせいでパニックになっており、ただ人々の悲鳴が木霊した。


  ユオンはキープ前のクリスタルでお茶を飲みながら平和に掘っていた。
  前線の様子など知らずに・・・。





  そして戦争は見事カセドリア軍の勝利に終わった。
  戦争終了後のランキングで キル数、PC与ダメージ、建物与ダメージ の1位はとあるソーサラーだった。


「はぁー。すっきりしたぁ・・・」

「わぁー・・・全部1位ってすごいですね・・・」

「ふふふ。これでも控えめなのよ?
 じゃ、首都へ戻りましょうか・・・。」


  ウェルナはさっきの戦争で暴れて機嫌が良くなったのか、
  首都まで歩きながら鼻歌まで歌っていた。







「あーーーーーー!!!」


  首都まで着くなりウェルナは急に大声をあげた。
  隣にいたユオンは何事かと驚きながらウェルナが指差した方向を見る。


「・・・あ、イリュアン!」

「・・・。」


  道具屋の前で再び出会った3人・・・。
  イリュアンとやらはリジェネレートを手に取り買おうか迷っている最中だった。



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「ノベル-AT通信-」作者と作品一覧

作者
作風
作品
Anry
Anry近影
独自の世界観が特徴。キャラ同士のセリフの掛け合いも面白い。
「Ring of the Kingdom」「War Dogs」他、読みきり1点
ルジェリア
ルジェリア近影
恋愛系が多め。女の子らしい内容が貴方を癒してくれるはずです!
「3 color's」他、読みきり3点
レゴルス
レゴルス近影
ギャグか?ギャグなのか?!本人は至って本気の作品達。BL臭がするのは僕が腐っているからか、、、。
読みきり3点
ディガル
ディガル近影
戦争・戦闘描写が細かい。何度も読み返す価値があるかと。
読みきり「浦波」
カヤ・エリル
カヤ・エリル近影
何気ない日常・会話、その中でふと考えてしまうことってありますよね。そういうお話。
読みきり「それを、覚えているだろうか?」
xxMILKxx
MILK近影
ファンタジー世界への飛び込めるような内容。あと恋の始まりの香りがぷんぷんしてきます。
連載小説「題名の無い物語」

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