About "AT通信"

  • FEZ内であまり役に立たない情報を、自分達が楽しみながら発信していく「組織」、またはその「情報媒体」です。

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NOVEL

「- Avenger -」---著[レゴルス]---画[ちるね&みかん]---

目次

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第一項

  何が、起こった?
 
  敵軍のキープへ共に妨害を仕掛けに行った仲間達が倒れている。
 
  残ってるのは、俺だけ?
 
「くそ…よくも仲間を…っ」
 
  傷ついた身で構え直そうとした次の瞬間。
 
「パニッシングストライク!」
「っ!?」
 
  不覚にも正面からのパニッシングストライク。
  いくら俺がウォリアーでも、負傷の身では―――!
 
「がああぁっ!!」
 
  パニッシングストライクをもろに食らってしまった。
 
  立つ力すら失い、その場に倒れた。
 
「く…そぉ……」
 
  意識が途切れる直前に、俺は見た。
 
  短剣を携え、黄色の中隊装備を纏った赤い髪のスカウトを―――。
 
 
 
 
「っ!!」
 
  がばっとその場から起き上がる。
 
「はぁ…はぁ…」
 
  呼吸が荒く、汗も結構かいている。
 
「ここは…ゲブランドの…ルーンワール…」
 
  キョロキョロと周りを確認する。
 
「…また、あの夢か…」
 
  顔の左部分のこめかみから頬まで伸びる傷跡をなぞるように触れる。
挿絵
 
「ガブラスー」
「ん…」
 
  声のする方に振り向くと、男性のソーサラーが近くに立っていた。
 
「スフィーン…」 
「またあの夢見てたのか?」
「ああ…」
「記憶、まだ戻らないのか?」
「…未だにな」
「そうか…あの赤い髪の短剣スカウトを見つけ出さないと進歩しないか…」
「ああ…あいつさえ見つければ、何かが分かるかもしれない…」
 
  すくっと立ち上がるガブラス。
 
「ホルデインと戦争してるエリアはあるか?」
「えーとー、ダガーだな。今戦争準備中」
「よし、ダガーへ参戦だ」
「まーたいなかったりしてな」
「いる事を願えよ、こういう時は」
 
  ダガーに向かう二人はその場からフィールドアウトした。
 
  彼の名はガブラス。クラス『ウォリアー』。過去の記憶を失っている片手ウォリアー―――。
 
 
 
 
  エスセティア大陸、ダガー島―――。
 
  攻撃側ホルデイン、防衛側ゲブランド。
 
「いつも通り、前線で奴らしき兵士を見たら知らせてくれ」
「オーケー、もう恒例化してる事だから分かってるよ」
 
  戦争開始の鐘が鳴った。
 
  ガブラスとスフィーンの二人はすぐさま前線へ向かい走っていく。
 
  ―――開始から随分経ち、ゲージ差はゲブランド側が有利。
 
  前線で味方歩兵を苦しめていた敵レイスが召喚解除した。
 
「お、敵レイス解除したな……ん?」
 
  スフィーンは敵レイスの解除後の様子を見逃さなかった。
 
  ホルデインの中隊装備、短剣、そして赤い髪のスカウトを―――。
 
「おいガブラス! 例の赤い髪の短剣スカウトがいたぞ!」
「本当か!?」
「ああ、敵レイスで前線にいた。瀕死解除してキープに戻る所だぞ!」
「分かった!」
 
  スフィーンの知らせを聞いたガブラスは全速力で走った。
 
  なるべく敵歩兵に出くわさないように慎重に進みながら、スカウトを追っていた。
 
  そして、遂に捉えた。
 
  確かに、夢に出てきたのと同じ、短剣スカウトだ。
 
遂に見つけた―――!
 
「赤い髪の短剣スカウト、覚悟っ!」
「っ!?」
 
  背後から飛び掛かるがすぐに身を翻したスカウトの持つ二本の短剣で攻撃を受け止められてしまう。
 
「ようやく見つけたぞ…仲間の仇っ!」
「くっ…何の事だ……っ!?」
「とぼけるな! お前の攻撃で仲間は倒れ、そしてお前のパニッシングストライクでこの傷跡がついた!」
「何の事なんだ…私は知らないぞ!」
「まだとぼけるか…ならお前の命を頂くっ!」
挿絵
 
  ギィィンッ!!
 
  重い金属音と共にスカウトの短剣を弾く。
 
「しまっ―――!」
「これで終わりだっ!」
 
  スカウトの態勢が整う前にガブラスは瞬時に身構え、飛んだ。
 
「スラムアタッ―――」
「サンダーボルトッ!!」
 
  瀕死のスカウトに向けたスラムアタックが当たる前にどこからか放ったサンダーボルトを食らった。
 
「がぁっ!?」
 
  直撃を食らってしまい、そのまま転倒する。
 
「隊長! 敵のウォリアーは俺が止めます! 早くキープへ!」
「すまない、助かった!」
 
  スカウトはそのまま急いでキープへと走り去った。
 
「くそ! 待てっ!!」
「おぉっと、隊長を狙う奴は俺が止めてやる!」
「くっ…ソーサラー相手では分が悪すぎる…」
 
  敵のソーサラーと目を合わせたまま後ずさりする。
 
「ああ、逃げるならどうぞ。後ろから撃つマネはしねぇから」
「……お前、あの赤い髪の短剣スカウトとは同じ部隊か」
「赤い髪の短剣スカウトって隊長の事か? そうだ」
「奴に伝えろ! 必ずその命を頂く、とな!」
 
  すぐさま身を翻して走り去る。
 
やっと掴んだチャンスが台無しになったが名前は覚えれた。
 
エルクラード……お前は俺が必ず―――。


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「ノベル-AT通信-」作者と作品一覧

作者
作風
作品
Anry
Anry近影
独自の世界観が特徴。キャラ同士のセリフの掛け合いも面白い。
「Ring of the Kingdom」「War Dogs」他、読みきり1点
ルジェリア
ルジェリア近影
恋愛系が多め。女の子らしい内容が貴方を癒してくれるはずです!
「3 color's」他、読みきり3点
レゴルス
レゴルス近影
ギャグか?ギャグなのか?!本人は至って本気の作品達。BL臭がするのは僕が腐っているからか、、、。
読みきり3点
ディガル
ディガル近影
戦争・戦闘描写が細かい。何度も読み返す価値があるかと。
読みきり「浦波」
カヤ・エリル
カヤ・エリル近影
何気ない日常・会話、その中でふと考えてしまうことってありますよね。そういうお話。
読みきり「それを、覚えているだろうか?」
xxMILKxx
MILK近影
ファンタジー世界への飛び込めるような内容。あと恋の始まりの香りがぷんぷんしてきます。
連載小説「題名の無い物語」

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