About "AT通信"

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『ゲームポットFESTA 2008』イベントレポート

FESTAを語る上で、まず皆様には彼の事を話して置かねばならないだろう…

今回のFESTAレポで一番危険かつ重要な仕事…、そう自分を犠牲にして皆の笑顔を収めていくカメラマン。彼、「氷穂」は勇敢にもその役を買って出たのである。なにが彼を突き動かしたのか…今になって思うと、AT通信でデジカメを常備していたのは彼だけだったからかも知れない。

FESTA当日、彼が会場に着いたのは日も暮れきった頃だった。僕は彼に言った「団体行動において時間を守れない奴は最低だ!」かくいう僕も、7時半にホテルのロビーに集合という約束を破って社員に迷惑を掛けていたが、それはそれ、うちはうちよそはよそ!

しかし、後に僕はそのセリフを言ったことを死ぬほど後悔することになる。だがそれはまだ先の話。

彼は会場に着くなり仕事を始めた、ただ黙々と、シャッターをきった。イベントも終わりに近づき誰も座っていない試遊台。少し前までは多くの亡者が集まっていたクエストスペース。

僕はやっと気づいた、彼の服が赤く染まっていることに…。「なにがあったのか」そう問い詰める僕に、彼は少しずつ、しかししっかりとした口調で答え始めた。

「最初は道路に落ちているゴミ袋かと思った」

「よく見ると子猫だった」

「気づいたら考えるより先に体が動いていた」

「あとは良く覚えていないが、子猫は無事で、自分は血まみれだった」

僕は怒鳴った「何故先にそれを言わなかった!ばかやろう!!」しかし彼は、僕とは正反対の優しい声で一言だけ呟いたんだ。

『俺が撮らないで、誰がみんなの笑顔を撮るんだよ…』

ああ、それもそうか…と思いましたまる

そういえば忘れてた、開場するなり物販に並んだ社員数名は4時間弱並び続けた。FESTA=並んだ、だったそうです。頼んどいてアレだけど、ドンマイ♪

そのあとも彼、氷穂は撮り続けた、今こうして見返してみるとわかる。この一見ただの手ブレに見える写真達…、いつ事切れてもおかしくない状態で撮影しているんだ、当たり前さ。フェンサーの発表には胸躍ったのだろう、綺麗に撮れている。しかし公開テストの予定は1月末…彼は絶望に打ちひしがれたに違いあるまい。そう、彼には時間がない、間に合わないのだ…。だからブレてる、きっと。

綺麗に撮れているタロットカードやグッズや書き込み掲示板…。彼は絵も嗜む、自分の絵がタロットになる、そんな夢もここまで。グッズなんて買えなかった、むしろ買ってもこの先一回でも使う事が出来るのだろうか…。書き込み掲示板は、彼のコメントを許さない程に書き込まれていて、まるで彼の存在を許してくれない未来を象徴しているかのように映ったのかも知れない。

そんな、彼自身の命をそぎ落とすかのようにして撮られた写真の中で、ある一枚の写真に目が行った。何気なく映った風景、だが写真中央に写る女性だけにピントが合わされている。僕は悟った、将来を誓い合った仲だったのだろう…。このスケベが!

FESTAが終わった頃、彼は眠るように、壁に寄りかかっていた…。社員の誰も、そんな彼を起こそうとはしなかった。それは余りにもその笑顔が穏やかだったから…。いや、帰りの電車が込むからだろう、うん、人多すぎワロタw

というわけで、FESTAはそれなりに楽しかったです!氷穂カメラマンありがとう!

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